ラオス3 ビエンチャン再び

鉄道でビエンチャンに戻ってきた。車両は満員だった。特に目立ったのは、中国の団体客たちだ。駅に着くと、パブリックバスやシェアバス、グループバスを探さなければならない。タクシーやツアーバスも多く、どれがどれか分からない。しかし、見覚えのある緑のバスを見つけた。これだ、と思った。

駅

バスの中には、12番の行き先があるという。28番はないと言われたが、夕方は確かにないと聞いていた。12番が街に行くと女の子が強くうなずくので、その言葉を信じて乗った。車掌の女の子にもホテルの写真と住所を見せると、問題ないと言ってくれた。料金は30,000KIP、つまり約1.4ドルだ。

しかし、車両の中をよく見渡すと、女性は一人しかいない。お金を集める車掌さんは若い女性だが、他の乗客は全員男性だ。しかも、声が大きく、何かと騒がしい。突然、誰かが怒り出し、椅子を叩いたり、運転手と口論になったりする。行き先が違ったのか、険悪なムードが漂う。

車内

結局、彼らは引き返して別の場所に送られることになった。引き返したので時間をくった。降りる際に手を合わせていたから、何かしらの交渉があったのだろう。周囲は依然としてうるさいが、他の乗客はスマホを見始める。中には中国語を見ている人もいる。車掌さんはラオス語を話しているが、どうやら様々な情報が交錯しているようだ。

ビエンチャンへの道中、様々な出来事があったが、無事に目的地に着けることを願うばかりだ。

バスの中は、とにかく声がめちゃくちゃでかい。別に怒っているわけではなさそうだが、なぜそんなに興奮しているのか理解できない。社内で少し静かにしてほしいと感じるが、何を話しているのか全くわからない。

渋滞に引っかかり、さっきのもめごとで一旦引き返したため、さらに時間がかかっている。車が全然動かず、イライラが募る。特に、先ほどの騒がしいおじさんの声が気になって仕方ない。

凱旋門

Googleマップを見ていると、どんどん街から外れていくのが分かった。慌てて車掌のお姉さんに聞くと、彼女は川の上に船を浮かべている人の写真を見せてきた。しかし、全く意味がわからなかった。周囲では英語を話す人もいない。

「ここで降りたほうがいいのか?」と必死で聞くが、通じない。ようやく彼女が翻訳機を使って教えてくれたのは、洪水のせいで街には行かないということだった。さっきのもめごとの理由がやっと分かった。あのおじさんは急に行けなくなったため、それならもとのところで降ろせと言っていたのだろう。

バスの中では、他の人たちが騒いでいるのに、一部の人は無関心な顔をしている。車掌の女の子は、一生懸命「洪水だから」と説明しているが、私が知りたいのは理由はどうでもいいから、彼女が行けるといったホテルに行くための最良の方法だ。このバスがどこに行くのかを教えてくれないと困る。もう我慢できずに「今すぐ降りる!」と決意した。

土嚢

地図を見ると、徒歩で28分と表示されている。可能な距離だ。もしこれが1時間とかになると、暗くなってしまうし、迷うのは不安だ。降りてみると、ホリデイインが見えた。ここからなら歩けると思い、「ここで降りる!」と叫んだ。

道はだんだん暗くなって不安になりながらも、テクテクと歩き出す。徐々に見慣れた風景になり、リバーサイドホテルに到着。8階に上がると、面白いが過ごしにくい部屋だったので、部屋を変えてもらった。

その後、例のお店に行くと、朝に頼んだランパパンのソーセージが冷凍だったことを思い出す。今回は新しいローカルなソーセージを試してみることにした。お店の人は「辛いかも」と心配してくれたが、実際はそれほど辛くないと思った。ただ、別添で唐辛子やニンニクがあったので、辛いのが好きな人はそれを加えるのだろう。

ライムジュースも美味しく、モーニンググローリー炒めは一人分には多かったが、満足だった。ココナッツクリームは手に入らなかったようで、洪水の影響で大変そうだった。みんな可愛くて働き者だなと感じながら、ゆっくり食事を楽しみ、リバーサイドホテルに帰る。

ここまで何とかたどり着いたが、明日洪水が来たらどうなるのか心配だ。ホテルから出られなくなるのではないかと考えると、不安が募る。膝まで水に浸かって帰るなんてことは勘弁だ。とりあえず、朝ご飯はここで食べるつもりだから、お腹をいっぱいにしておこう。ハハハ。

夜中はかなり雨が激しく、何度も目が覚めた。昨日の夜は天気が良かったので驚いたが、やはりみんなが言っていた通り、朝起きるとメコン川が増水しているのを見てさらに驚く。

朝食は期待外れだった。コンチネンタルな感じが全くなく、中華粥など中国人が喜びそうなメニューが中心。ラオス人や中国人のグループが目立っていた。コーヒーを飲みながら、気持ちを切り替えた。雨がひどかったので、どこに行こうか考えながら、部屋に戻ってバルコニーでゆったり過ごすことに。

フロントに行き、明日のタクシーを頼んだ。料金は10ドル。これまでパブリックトランスポーテーションを利用したおかげで、予定していたタクシーは全く使わなかった。両替して余裕があるものの、いざという時に備えてタクシーを予約することにした。洪水の影響で街中が混乱する可能性も考え、4時25分に200,000KIPで予約した。

ホテルを出て、まずはバスターミナルと市場に向かう。しかし、雨の影響で道がぐちゃぐちゃになっており、混乱ぶりが目立つ。通り過ぎながら、日本大使館の方へ歩いて行くことにした。道を進む中で、雨の中でも活気のある街の様子を楽しみながら、次の行動を考える。途中で雨が再びひどくなり、ちょっと一休みしたいと思い、手ごろなカフェを探し始めた。スイーツを売っているお店も気になったが、水の問題が怖すぎて行く気になれない。結局、ペプシやジュースの瓶を置いている小さなお店で一休みすることにした。

ペプシ

雨が小止みになったタイミングを見計らって、再び歩き出す。日本大使館は、思ったよりも殺伐とした雰囲気の中にあった。さらに歩いて行くと、寺院に到着。ここは観光地で、中国の団体客がガイドを連れて賑わっている。あちこちで説明を受けながら移動している姿が目立ち、少し派手な雰囲気を醸し出している。

象がひれ伏している像が見られ、これは結構珍しいと思った。面白い。周囲には大きな像もあり、その迫力に圧倒される。ただ、それだけかなという印象も受けた。観光地らしさを楽しみながら、周囲の様子を観察するのは面白い。

象さん

マーケットまで歩いて帰ることにした。地図でスーパーマーケットを見つけ、どんなところか行ってみることに。しかし、人通りが全くなくてちょっと嫌な感じがする。1人でポツンと歩いていると、スーパーマーケットに到着した。多分、タイやベトナムから輸入した雑貨が並んでいる。

少しぶらぶらしてみると、一般庶民はどこで買い物をしているのだろうと考えた。ここではないことは確かだが、ウェットマーケットは減少しているというガイドを思い出す。コンクリートのスーパーが増えているというのだから、みんなそこに行っているのだろう。人が少ないのも、車やバイクが主流ということを示しているのだと感じた。

さらに歩いて行くと、凱旋門に到着。昨日はここでのんびりバスから写真を撮っていたが、街から離れていく不安を感じたポイント。まあ、これは1つの経験だ。早めに気がついて、歩いて帰れる範囲で降りられたことは良かった。

凱旋門

歩いていると、急に中国人の団体に出くわした。皆が写真を撮っている。凱旋門に似せているが、天井には白い仏教の仏像があるのが印象的だった。そこでふと気づいたのが、明日予約したタクシーが今日になっているのではないかということ。バウチャーを確認すると、ちゃんと書いていたつもりだったが、確認を怠っていた。しまった。今日チェックアウトするはずがないのは分かっているし、支払っているからチェックアウトにはならないと思うが、相手はそこまで分からないかもしれない。今日の予約になっているとしたら、、、焦るばかりだ。

まずは、タクシーの予約が明日だと確認するために、エクスペディアの返信から連絡を試みた。きちんと書いてあるはずだから、変更してくれるだろう。しかし、今日の乗車になっていたら、再度料金を支払わなければならないかもしれないと不安になる。私がきちんと確認していればよかった。

ホテルに戻り、変更をお願いすることにした。タクシーが来てしまったら大変だし、追加料金を払うのも嫌な気分になる。洋服のマーケットに着くと、ホテルまでは18分と表示されていた。これならタクシーが来る前に間に合う。急いで戻ると、スタッフはすでにメールを受け取っていたようで、ニッコリ笑いながら「もう変更したよ」と言ってくれた。焦って話さなくてもよかったとホッとする。

再びマーケットに戻ると、もう閉店間際だった。洋服や電化製品が多く、韓国の洋服屋が目立つ。マッサージのお店も多かった。

マーケット

まだ少し時間があったので、ナイトマーケットに行ってみることにした。昨日もちょっと行った場所だが、今日はあまり食べたくはなかった。しかし、紫と黄色の揚げたボールを売っていたので、思わず買ってしまった。中は空洞で軽く、甘みがあってとても美味しいスナックだった。

揚げボール

その後、北の方のマーケットへ向かう時間帯に差し掛かり、営業終了は18時とのこと。時計を見ると15時半から17時半の間だったので、急いで行くことに。途中、少し不安になるようなエリアもあったが、特に問題はなく、歩き続ける。

すると、もち米を売っているお店を見つけて購入。22,000KIPでチケットを買い、閉まりかけの市場をちらっと見学した。市場は広そうで、食材が多く、朝はきっと活気があるのだろうと感じた。明日の朝食のことを考えながら、期待が高まる。

部屋に戻って、米などを置いて少し落ち着く。そして、ホテルのレビューをチェックしていると、「川から50メートル」と書かれているのを見つけた。そういえば、川べりに行っていないことに気づき、早速行ってみることにした。すると、驚くべき光景が広がっていた。家々が沈んでいる。

どういう状態だったのかはわからないが、屋根しか見えない家がいくつもあった。人々が集まっているのも頷ける。ナイトマーケットはどうなっているのかと思ったが、これでは出店できないだろう。水が目の前に迫っていて、今日は町中で土を運ぶ様子を見かけたので、やっぱり深刻な状況なのかもしれないと感じた。

メコン川

いつものレストランに向かい、今夜の最後の食事を楽しむことにした。たけのこのスープと魚を頼み、フルーツが入荷しにくい状況なのでココナッツジュースを勧められた。料理は美味しく、スープは少し辛めだった。お別れの挨拶をしながら、明日日本に帰ることを伝えた。お店は家族経営で、シェフはお母さんだと聞き、料理を学んだ若いスタッフの人生についても知ることができた。彼女のスキルは素晴らしく、家族の支えになっていることに感心した。

食事

昨日市場で買った食べ物も味見してみることにした。豚の油が美味しかったが、やはりあれは少し重たくて、どうやって食べるのかは謎だ。しかし、ラオス特有の辛さはそれほど辛くは感じなかった。

朝食の後、北のマーケットに向かう道中、以前バスで降りそこなった場所を思い出しながら歩く。食堂やドリンク屋さんを通り抜け、街の中心部へ進むと、観光客は全くおらず、普通の人々が生活を営んでいる。日曜日ということで、子供たちも楽しそうに遊び回っている。

マーケットに到着すると、洋服屋さんや食肉の売り場が広がっていた。特に食肉の加工を見るのが珍しく、思わず目を奪われてしまう。頭をガンガンさばく音や、頬肉を丁寧に剥ぎ取る様子に驚かされた。女性たちが力強く肉を捌いている光景は印象的だった。包丁を研ぎながらガンガン切る姿は、暑い中でもしっかりと仕事をこなしている。

ウェットマーケット

周囲の人々も、肉を選んでは手で触れ、投げたりしている。その後、水で手を洗う光景を見て、病気にならないように慣れているのだろうなと感じた。市場を見回った後、香辛料屋に立ち寄った。どの香辛料を選ぶか迷ったが、とりあえず唐辛子だけを買うことにした。2袋で15,000KIPという手頃な価格だった。地元の風景や文化に触れることができて、とても充実した朝となった。

市場を回っていると、野菜屋さんが目に入った。ルアンパバーンでのモーニングマーケットで学んだことが役立ち、野菜の種類や食べ方を思い出しながら楽しく見て回る。どの野菜も大きくて新鮮で、ラオスで取れているのか、他の国から輸入されているのかは分からないけれど、近隣の国から来ているのかもしれない。国境が近いだけに、色々なものが集まっているのだろう。

あちこちで土嚢を積み上げている光景が目についた。この辺りまで水が来る可能性があるのだろうか。もし本当に水がここまで迫ったら、街中はびしょ濡れになってしまうだろう。みんなが恐怖を抱えながら日々を過ごしているのだと感じた。台風の影響らしく、昨日は本当にひどい雨だったが、今日は晴れて気持ちが良い。このまま晴れが続けば、これ以上水が来ることはないのだろうと願った。

その後、カフェでランチをとることにしたが、忙しそうで愛想もあまり良くなく、居心地が悪いと感じた。サンドイッチは見た目は綺麗に作られていたが、思ったほど美味しくなかった。食べ物は素材や調理法も大事だが、店の雰囲気や対応も味に影響するものだと改めて思った。

小洒落カフェ

それでも、バルコニーでメコン川を眺めながらランチを楽しむ贅沢な時間は貴重だった。川からの幻想的な音や、人々の声が心地よく響く。まさにバックパッカーやバジェットトラベラーが集まる街の雰囲気を感じ、懐かしさが胸をよぎった。この瞬間は、日常へのエナジーチャージとなる。

しかし、メコン川の水位は驚くほど上がっていて、恐怖を感じずにはいられなかった。私が旅立つ前に、この地で出会った人々が無事であることを祈るばかりだった。

メコン川

ホテルからタクシーで空港へ向かい、サイゴン経由で日本に帰ることに。深夜便だったので、機内ではぐっすり眠ることができた。旅行の疲れもあって、心地よい夢の中で時間が過ぎていく。最後の思い出を胸に、静かな空港の明かりが遠くに見えた。次の旅を楽しみにしながら、無事に帰国の途についた。

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